完璧執事の甘い罠


私は気にしないから。
そう言われても仕方ないから。


そういうことじゃ、ないんだ。




「ひな様。お疲れでしょうから、お部屋までお送りいたします。さあ」

「・・・うん」





青ざめたメイドさんたちを置き去りにしてジルは私の背中に手を添え歩き出す。
私はトボトボとそれに連れられ歩き出した。

あんな風に、私が姫であることに不審を抱いている人はきっとたくさんいるだろう。


もし公に発表されたら、国民の中にもそういう人たちは出てくるんだろうな。
怖い・・・。


自分が、あんな風に思われて陰で言われているかもって思ったら。


悔しいし、やりきれない。



どうやったら認めてもらえるんだろう。




「ひな様、申し訳ございません」




部屋に戻るやいなや、ジルがそう言って頭を下げた。
なんでジルが・・・?




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