完璧執事の甘い罠


「私はメイドや執事を纏める者として、教育が行き届いておりませんでした。不快な思いをさせてしまったのは私の責任です」

「そんな、頭をあげてよ。ジルのせいじゃない。やっぱり、私がしっかりしていないせいだよ」

「いえ、先ほども申しました通り」

「それでも、私がしっかりしてないから、皆だってそんな人に従いたくないって思うのだろうし。私がちゃんと姫として認められないといくら姫だって言われたってきっと納得してもらえないんだ」




あのメイドさんたちが言ったのが全てだ。
突然現れた素性のしれない私が、王族の血を引いている姫だって言われて。
その私が、ヒールもまともに履きこなせない、マナーもなってない、そんな人間で。


納得ができるわけがない。



“ずるい”きっと、その言葉が全てなんだろう。




「メイドさんたちの、言い方は正直気に入らないし、ひどいって思うけど・・・。でも、きっと他にもなんでって思ってる人たくさんいるって思う」




ノエルだって、自分が認めた人にしか従わないと言っていた。
きっと私はまだ認めてもらえてない。


だから不信感は浮き彫りになるし、いろいろ言われる結果になってる。




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