完璧執事の甘い罠
「では、私は失礼します。なにかありましたらヨハンをお呼びください」
「はい。ありがとう」
ジルは恭しく頭を下げ部屋を出た。
残された私は、机に向かい読みかけてしまっていた本を取り出す。
少しでも知識を増やさなきゃ。
本と一緒に取り出した50音表を横に置きながら本を読み始める。
もうほとんど表は使わなくても読めるようになった。
この本を読み終えたら今度は書けるようにならなくちゃ。
死に向かっていた最初は自分は不幸のどん底にいるって思って何もする気がしなかった。
でも今は、頑張りたいことができた。
気持ちの持ちようでこんなにも変わるんだ。
今私は、満ち足りている。