完璧執事の甘い罠
頭が、ボーッとする。
身体も気怠く、動けそうにない。
ぼんやりと瞳を開くと最近はすっかり慣れ親しんだ天井。
「・・・あれ・・・」
「目を覚まされましたか?」
聞こえてきた、これまた慣れ親しんだ声。
私は頭を動かすのさえ億劫でゆっくりと瞬きをした。
「大丈夫ですか?ご加減は?」
「・・・え・・・私・・・」
「倒れられたのです。高熱が出ております」
「あ・・・」
そっか・・・。
ダンスレッスンの途中から記憶がないや。
私、倒れたんだ。
ジルが、介抱してくれたんだね・・・。
「・・・だるい・・・」
「当然です、熱が高いのですから。医者の話によると、疲労からくるものだろうと。無理をされていたのは知っていたのに、申し訳ございません」
またそうやって自分のせいにして謝るんだ。
馬鹿だな、ジルは・・・。
無茶をしたのも、倒れる羽目になったのも、全部私の自業自得なのに。