完璧執事の甘い罠
認められたくて必死だった。
無理をしていたつもりはないけれど、結果的に無理になったのも当然だ。
それだけ、必死だった。
「なにか、食べられそうですか?薬を飲んでいただきたいので何か召し上がってほしいのですが」
「・・・ほしくない・・・」
身体が気怠く、ぼんやりとしていて動くのも何かを食べるという事もする気が起きない。
こんな時、お母さんが生きていた頃は・・・。
「リンゴを摩り下ろしたものなら食べられますか?」
「・・・りんご・・・。ほしい・・・」
ジルの言葉に私はそう答えた。
ジルは、私のベッドの側に寄ると、ベッド脇に腰を下ろす。
そっと私を抱きかかえるようにして身体を起こしてくれる。
密着する身体。
きっと、普段ならドキドキしちゃうんだろうけど、熱で浮かされた私はぼんやりとなすがまま。
「寄りかかってくださって、構いません。楽な体勢に」
「・・・ん・・・」
ジルにもたれかかるようにして座る。