完璧執事の甘い罠
パチッと目が覚めた。
ここは、どこ。
ゆっくりと瞬くと少しずつ記憶が戻ってくる。
わ、わ、私・・・なんてこと。
ジルに甘えて・・・ジルもいつになく優しくて。
りんごのすりおろしを食べさせてくれたり、甲斐甲斐しくお世話してくれた。
熱でぼんやりしていて、夢うつつの中のことだったけど、あれは確実に現実だ。
恥ずかしすぎるっ!!!
「ひな様、ご加減はいかがですか?」
丁度、部屋に入ってきたジルは、私が起きているのを見ると伺うように尋ねた。
尋ねながら私の額に手を伸ばし、触れる。
トクン、と胸が鳴る。
「ほとんど下がっているようですね。今日は完全に下がりきるまでお休みください」
「はい・・・」
ジルに告げられ、私は素直に頷いた。