完璧執事の甘い罠
「なにをしていたの?」
「・・・いえ、その。自分の不甲斐なさに、凹んでいたといいますか」
「不甲斐なさ?」
「失敗ばかりで、・・・姫様にもかっこ悪いところを見せてしまいましたし」
落ち込んでいる様子のエリシアちゃん。
「エリシアちゃん、何歳?」
「私は、15歳です」
「15歳!?私より4つも下じゃない。それなのに、こうやって頑張って働いて、反省までできるなんてすごいよ」
この世界の事は、まだ知らないことが多い。
エリシアちゃんみたいに、こんな子どもでもみんな働いているのかしら。
「いえ・・・。私は全然です。先ほども、姫様に無礼な口利きを・・・」
「ん?ああ・・・。別に、気にしていないよ?私も余計な事を言ってしまってごめんね」
「・・・おかしいです」
「え?」
「姫様が、従者に謝るなんて、変です」
「そうかな?間違ったことをしたら謝るのは、人として当然のことだと思うけど・・・」
私の当然と、ここの人たちの当然は、違うのかもしれないけれど。