完璧執事の甘い罠
テラスに出る大窓の前に来て、鍵を開ける。
火照った体を冷ますのに、外に出るのも気持ちがいいかも。
そう思い、私はゆっくり窓を開けていった。
「えっ、・・・んぐっ・・・!」
ゆっくり開いていた窓が、急に勢いよく引かれ私の口に何者かの手が回され塞がれた。
一瞬の出来事に、叫ぶ事も忘れ身を固める。
何者かの手が強く私の口を抑え込み、もう片方の手では身体を抑えこんだ。
「ん!ん――っ!!」
なに、いったい、なんなの?
怖い。
怖い、怖い、怖い。
誰か、ジ、ジル・・・!
助けて。
「静かにしろ」
ドスのきいた男の声が耳元で聞こえ、恐怖に声が出なくなった。
大人しくなった私の顔の前に、霧吹きのようなものを持ってきたその男が、霧吹きから何かの水をシュッシュッと吹きかける。
くらっと世界が歪み、私は意識を手放した。