完璧執事の甘い罠
「・・・う・・・」
頭がガンガンと痛い、身体も気怠く言う事をきかない。
ゆっくりと瞳をあけると、目を塞がれているのか視界は真っ暗だった。
埃っぽく、薄暗い室内。
腕は後ろ手に縛られている様で身動きが取れない。
口も布で縛られ喋ることもままならない。
恐怖で震える身体。
いったい、何が起きたというんだろう。
どうして私は・・・。
「目を覚ましたか、お姫さま」
「・・・っ!んん!!」
ドスのきいた声は、あの時に聞いた声と同じ。
私をさらった犯人のものだ。
「んんっ!ん――!!」
必死に訴えようとするけど、布が口に食い込んで、言葉にならない。
「いくら叫んだところで、周りには人はいねぇよ。ま、だから口だけは外してやる」
男はそういうと、私の口に巻いていた布を外した。