完璧執事の甘い罠


助けて。
誰か。


もう嫌だ。
こんな思いするくらいなら。



この男に好きな様にされるくらいなら。





「いやだ、もう、っ、殺して!」

「はっ、ヤられるよりその方がいいってか?そんな勿体ねぇことするわけねぇだろ」




半狂乱の私とは裏腹に、男はいたって冷静で、それが余計に恐怖心をあおる。
抵抗しても逃れられなくて。
真っ暗で、なにも見えずただ恐怖だけが湧き上がる。


もう・・・いやだ・・・。




助けて、






その時、バキバキッと破壊音が聞こえ辺りが騒然とし始めた。




「貴様ああああ!」





誰かの怒号が飛び、私の上にのしかかっていた重みが一瞬で消えた。
男の唸り声が一瞬聞こえた後、その声は聞こえなくなった。





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