完璧執事の甘い罠
いったい何が起きているのか理解が出来なくて。
ただただ怖くて震える。
「外にいる奴らも全員残らずひっとらえろ!」
「はっ!!!」
バタバタと慌ただしい足音が聞こえる。
「ひな様!」
そんな中で、聞き覚えのある声が私に触れる。
でも、混乱した頭ではうまく理解できなくて、ただ触れられたことに恐怖が蘇り身体を捩った。
「いやっ、やだ!来ないで!触らないで!」
「ひな様!落ち着いてください!私です!ジルです、もう、もう大丈夫ですから」
「や・・・、もういや・・・、死なせて・・・」
「ひな様・・・っ」
こんな想いをするくらいなら。
真っ暗な世界に落とされて。
「くそっ、・・・」
聞き覚えのあるもう一つの声が、悔しそうな声をあげた。
腕の縄と目の布を外され、自由になる。
そのことでようやくほっとして落ち着いた。
でも、その瞬間気持ち悪さがこみあげてきて、私は嗚咽を漏らし盛大に吐いた。