紅色の欠片
沙夜のなんともいえぬ能天気さに、圭佑が
あきれていると圭佑達が乗っている車がこ
れから住む家に着いたと運転手の告げる声
で、二人は車から降りた。
二人が乗っていた車は、悠欄が朝早くに圭
佑の家に寄越したくるまだ。
圭佑と沙夜は、朝準備をしたあとに来た運
転手付きの黒い高級車にビックリしたの
は、言うまでもなかった。
圭佑達が、車から降りた先には、高級住宅
街に建てられている周りの建物よりもはる
かに大きい家だった。
圭佑達の乗って来た車からして、お金持ち
なのだろうとは思っていたが、まさかここ
までだったとは思いもしなかった圭佑は、
驚きが隠せないようだ。
また、悠欄がお金持ちであることを知って
いた沙夜も、ここまでとは思っていなかっ
たようだ。
二人が門の前で突っ立っていると、門が開
き中から25歳ぐらいの男が出てきた。
男は、黒い燕尾服を着ていて胸には、銀色
のブローチを付けていた。
その男の容姿は整っていておとぎ話に出て
きそうだと圭佑は思った。
男は、二人の前まで来ると自己紹介を始め
た。