紅色の欠片

爽「はじめまして。ようこそいらっしゃい
ました。沙夜様、圭佑様。私は、緒方
爽弥(おがた そうや)と申します。悠
欄様の執事をやらせていただいていま
す。」


爽弥のしゃべり方は物腰柔らかで、ききご
こちの良いものだった。


沙「お久しぶりです、爽弥さん。これから、
よろしくお願いします。 」


沙夜は、悠欄と会うときに、何度か爽弥と
会う機会があり、見知った人が来たこと
に、とても安心したように挨拶をした。


一方圭佑は、何もかもにも驚き、その驚き
のせいで挨拶ができないでいた。


爽「悠欄様がお待ちです。ご案内致しま
す。」


爽弥の言葉で二人は爽弥に、付いていっ
た。


門をぬけると、真ん中に噴水があり、少し
歩くと、大きな扉の前に立った。


爽弥が、両開きの大きな扉を両手で開ける
と、そこには、またもやおとぎ話に出てき
そうな光景が広がっていた。


天井にはシャンデリア、少し進んだ場所に
は、赤い絨毯が敷かれた階段があった。


扉から階段にかけて何人かの燕尾服や、メ
イド服を着た人達が並んで「いらっしゃい
ませ、沙夜様、圭佑様。」と言いながら頭
をさげていた。


それを見た沙夜と圭佑は、少々ひきつった
笑顔をしていたのは、言うまでもない。


すると、階段の上から男の声が聞こえてき
た。


悠「やあやあいらっしゃい。沙夜とそちら
は、圭佑くんかな?」


男とは、悠欄のことで、圭佑から見た悠欄
の姿は、まさしく王子だろう。


実際に、爽やかな優しそうな笑顔を浮かべ
ながら、赤い絨毯の階段を下りてくる姿
は、女の人なら誰でも見惚れるほどのたた
ずまいをしていてなおかつ、優雅なのだか
ら圭佑がそう思うのも仕方ないだろう。
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