ポテトチップスのりしおの男
でも、今日は違う。

まさか高田くんのポテトチップスの好みを知ることになるなんて思いも寄らなかったから、まったく心の準備ができていない。

もっと先のことだと思っていたから、油断しきっていた。


ちなみに、今、どんなシチュエーションかというと。

大学のサークル仲間四人が私の家に集まって、家飲みをしようというところ。

私は大学のすぐ近くに下宿しているので、この四年間、サークル仲間の溜まり場になっていたのだ。

今日は、就職戦線を乗り越え、卒業を間近にひかえて、最後のどんちゃん騒ぎをしようということになっていた。


高田くん以外の二人からは、バイトが終わってから来るので少し遅れるとラインが入っていた。


お酒とおつまみは、先週のうちにみんなでお金を出し合って買っておいたので、準備万端。

だから、みんな手ぶらで来る予定だった。


それなのに、どうして高田くん、さらにおつまみを買ってきたのか。

しかも、よりにもよってポテトチップス。


どうしよう。気になる。高田くんは何味を選んだのか。

見たいけど、見たくない。


自分で言うのもなんだけど、最近、高田くんとはいい感じなのだ。

なんとなく二人でいる機会が多くて、二人で話す時間も他の人よりは長くて、そういうときになんとなく『波長が合うなあ』って感じがして。

高田くんのほうから私に話しかけてくれることも多いし、彼ののんびりとした話し方を聞いていると、心が安らぐ感じがする。

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