副社長は束縛ダーリン

食べたくても、二個目は我慢。

そう思って断ると、クールな泉さんがプッと吹き出した。


「フィットネスクラブにも通ってるんでしょ? この小さなコロッケ二個くらい、大丈夫じゃない?」

「そ、そうでしょうか……」


フィットネスクラブに入会したのは、三日前のこと。

痩せるだけじゃなく、できればメリハリのある美しい体を手に入れたくて。


二班の中では、泉さんにしかこの話をしていなかったので、男性たちから興味を持たれて質問された。


「へぇ、本格的にやってるんだ。どこに行ってるの? CMでやってる有名なところ?」

「あそこは高くて、私には無理です。
駅前にあるフィットネスクラブですよ。キャンペーン中で安く入会できました」

「もしかして副社長のためのダイエット?
それなら、副社長がお金出してくれるんじゃない?」


それは……絶対に無理。

フィットネスクラブに通い始めたことも、ダイエットしていることも、悠馬さんには秘密にしているから。


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