副社長は束縛ダーリン

会話の内容まで聞かれなかったのはよかったけど、このピンチをどうやってしのごうか……。


笑顔を引きつらせて考えていると、悠馬さんは微かに眉をひそめる。

『俺に言えない話なの?』と言いたげに見えて、それに焦りを感じているのは私だけではなく、班員たちもだった。

彼の機嫌を損ねないようにと、林さんが慌てて口を開く。


「さっき笑っていたときの話題ですね。えーと、仕事と関係ない話をしてしまいました。
朱梨ちゃんが、副社長のためにダイーー」


ダイエットと言いかけた彼に焦り、私は手に握っていた割り箸で、思わず彼の脇腹を突いてしまった。

「うっ」と呻いた林さんに、「ごめんなさい! 手が滑っちゃって……」と謝ってから、悠馬さんに作り笑顔で言う。


「ダイ……ヤモンドの話です。ほら、副社長に誕生日にいただいたネックレスの。
愛されてるね〜という感じで、アハハと盛り上がって……」


< 116 / 377 >

この作品をシェア

pagetop