副社長は束縛ダーリン
あれ? もしかして私、誘われてるの?
彼には仕事以外の目的もあって、こうして側から離れないのだと、やっと理解したとき、「早見さん」と誰かが彼を呼んだ。
それはまたしても、大人美人の彼女で……。
いつの間にか彼女は、隣のショルダープレスという、肩の筋肉を鍛えるマシンに座っていた。
振り向いた早見さんに、「私にも教えてくれる?」と、上品に笑いかけている。
早見さんはなぜか戸惑っている様子で、怖ず怖ずと彼女に聞き返す。
「この前、気が散るから話しかけないでって、言ってましたよね……?」
「この前はこの前。今日は今日よ。
この私に教えるのが嫌だというの?」
美人な彼女に厳しい口調で言い返されて、早見さんは慌てて立ち上がり、彼女の側に移動した。
「すみません! もちろん、喜んで教えます」
するとなぜか彼女の視線が、彼ではなく私に向いた。
その得意顔の意味は、一体なんだろう……?