副社長は束縛ダーリン

あれ? もしかして私、誘われてるの?

彼には仕事以外の目的もあって、こうして側から離れないのだと、やっと理解したとき、「早見さん」と誰かが彼を呼んだ。

それはまたしても、大人美人の彼女で……。


いつの間にか彼女は、隣のショルダープレスという、肩の筋肉を鍛えるマシンに座っていた。

振り向いた早見さんに、「私にも教えてくれる?」と、上品に笑いかけている。


早見さんはなぜか戸惑っている様子で、怖ず怖ずと彼女に聞き返す。


「この前、気が散るから話しかけないでって、言ってましたよね……?」

「この前はこの前。今日は今日よ。
この私に教えるのが嫌だというの?」


美人な彼女に厳しい口調で言い返されて、早見さんは慌てて立ち上がり、彼女の側に移動した。


「すみません! もちろん、喜んで教えます」


するとなぜか彼女の視線が、彼ではなく私に向いた。

その得意顔の意味は、一体なんだろう……?

< 133 / 377 >

この作品をシェア

pagetop