副社長は束縛ダーリン
ふと壁掛け時計を見ると、十九時五十六分を示していた。
腹筋マシンから跳び起きた私は、「いけない、悠馬さんにメールしないと!」と、大きな独り言を口にした。
二十時までに帰ると言ったから、帰宅メールを送らないと、また心配させてしまう。
慌てて立ち上がり、スマホを置いているロッカールームへと早足で歩き出す。
そんな私の口元には笑みが広がっていた。
大人美人の彼女については、色々と疑問に思うところだけど、こうして背を向けて視界から消してしまえば、すぐに気にならなくなる。
それよりも、今は悠馬さん。
優しく微笑む彼を思い出しながら、度々嘘のメールを送ってごめんなさいと、心で詫びる。
でも、もう少しだけ嘘をつかせてください。
今に悠馬さんに釣り合うような、ナイスバディのいい女になってみせますから!