副社長は束縛ダーリン

「どう?」と問うと、ユッコは箸を止めて私の顔と上半身を眺める。

自分としては、丸顔の頬のラインがいくらかスッキリしたように思う。

気になっていたお腹の贅肉も、少しは減ったような気がするし、いい調子。

しかしユッコに、「どうって聞かれても……変わってないよ」と言われてしまう。


そんなことはないと反論しようとしたけれど、肝心の悠馬さんにも、『痩せた?』とか『最近、綺麗になったね』という言葉を、まだかけられていないことに思い当たった。


フィットネスクラブ通いは、月曜から木曜の週四日。

週末は悠馬さんと過ごすから、行くことができない。

大人美人のあの女性とは、これまでに六回、顔を合わせていて、その度になぜか競う羽目になっている。

毎度、敗北感を味わわされても、めげずに頑張っているというのに……。


悠馬さんからは、期待する言葉ではなく、ギクリとする言葉ならかけられる。


『最近の朱梨は、なにかおかしいな……。
俺に隠しごと、してない?』


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