副社長は束縛ダーリン

すると大きな手が私の頭に伸びてきて、安心を与えようとするかのように撫でてくれる。

さっきより深いキスもくれて、変わらなければと焦っていた私に、「そのままでいいよ」と言ってくれた。


「不安にさせて悪かった。今まで、朱梨のどこに魅力を感じているのかを、きちんと言葉で伝えていなかったよね。
俺は朱梨のそういうところが好きなんだよ」


自信に繋がるような言葉をもらえると思い、期待に胸が高鳴る。

聞く前から口元を綻ばせ、「そういうところって……?」と、話の続きを促した。


「一生懸命なのに、空回りして、成果に結びつかないところ。能天気に明るくて、前向きで、素直なところもかわいい。
だから朱梨は、今のままでいい。変わろうとしないで」


かわいいと褒められ、一瞬喜びかけた私だが、目を瞬かせて、はたと考え込む。

悠馬さんが私に感じる魅力って、そこなの……?

ダメなところがほとんどじゃない。


「あの、私は悠馬さんと釣り合う、いい女になりたくて、悩んでるんですけど」

「釣り合うって、どういうこと?
朱梨を重役にすることはできないし、給料を特別に上げることもできないんだから、余計なことを気にしても仕方ないよ。
俺は今のままの朱梨が好き。自信を持って」


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