副社長は束縛ダーリン

好きという言葉も、変わらなくていいと言ってくれる言葉も、嬉しくてありがたいけれど、なにか釈然としない思いが残る。

悠馬さんの隣に立っても見劣りしない女性になりたかったのに、それを望まれていないなんて……。


考え込んでいたら、額同士がコツンとぶつかった。

見えないほどの至近距離で、「また勝手になにかしようと企んでるの?」と怪しまれ、決してそんなことを考えていたわけじゃないと、私は慌てた。


「もう隠れてなにかをやったりしません。今回で懲りました」

「それならいいけど」


話の区切りに悠馬さんは私を膝から下ろし、隣に座らせると、立ち上がった。

「待ってて」と言い残してリビングを出て、寝室に入っていった様子。

しばらくするとネイビースーツのスラックスを穿き、ワイシャツを着て、ジャケットとネクタイを手に戻ってきた。


「これから仕事ですか?」

「ああ。やることを思い出して、少しだけ。車で社に行って、二十分で用事を済ますから、朱梨は車で待っていて」

「私も行くんですか?」

「そう。その後に朱梨のアパートに寄るつもりだからね。当分の間、必要な衣類と日用品を持って、ここに帰ってこよう」

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