副社長は束縛ダーリン
このままの私が最高にかわいいそうです
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同棲生活が一ヶ月になろうとしている八月下旬の火曜日。
朝日を浴びる私は、広いオープンキッチンに立ち、これから起きてくる悠馬さんのための朝食を作っていた。
お洒落で西洋風のキッチンにいても、いつもの割烹着姿で、メニューも純和風。
ふたり掛けのダイニングテーブルに、鯵の開きの塩焼きと、納豆とキュウリの浅漬け、それからだし巻き卵を並べたところで、六時半になる。
すると、寝室からアラーム音が聞こえ、それが途絶えると悠馬さんが起きて、洗面所に向かう物音がした。
ご飯と味噌汁をよそいテーブルに置くと、洗面を終えた彼が、部屋着姿のままリビングに現れる。
「朱梨、おはよう」
「おはようございます!」
「今朝も、朝食をありがとう」と言ってくれる彼に、頬が綻ぶ。
同棲はまだ早いと、最初は戸惑っていた私だけど、好きな人のためにこうして朝食を作ることも、向かい合って食べることにも、幸せを感じていた。