副社長は束縛ダーリン

プレゼントしてくれるのは嬉しいけれど、二十四歳の私が持つ時計じゃないよ。

小学生、いや、幼児向けに見えるんだけど……。


困り顔で「ありがとうございます」と一応お礼を言い、手に取ると、椅子に座り直した彼は「腕につけずにバッグに入れておけばいいよ」と不思議なことを言う。


「それ、GPSだから。時計機能はオマケみたいなもの」


サラリと説明した彼に、私は開いた口が塞がらないでいる。

これって、親が子供に持たせるために作られた、GPS端末だったのね。

どうりでデザインが子供っぽいはずだ。

悠馬さんはこれを私に持たせ、常に居場所を把握していたいみたい。

知られて困ることはないけれど、心配性が過ぎるんじゃないかな……。


「ご馳走様でした」とほぼ同時に、私たちは朝食を終えた。

片付けようと悠馬さんの食器に手を伸ばしたら、「あのさ」と、躊躇いがちに問いかけられた。

いつもの悠馬さんらしくない会話の始め方に、私が首をかしげると、彼は言いにくそうに、食事に対しての注文を口にする。

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