副社長は束縛ダーリン
ユッコ、まだ来てないみたい……。
社食で会えると思ったのに、今日はコンビニ弁当にするのだろうか?
それとも、いつもより遅らせて、空いた頃に来ようとしているのかな。
ユッコを探した理由は、今朝、悠馬さんから女友達と遊びに行ってもいいとお許しをもらったからだ。
ユッコの週末の予定が埋まらないうちに、相談したいところ。
日替わり定食を買い、空いている席に座って食べている最中も、ずっと入口を気にしていたけれど、とうとうユッコは現れないまま。
どこにいるのか聞いてみようとポケットを探るも、スマホをバッグの中に置いてきてしまった。
食べ終えて社食を出た私は、二階の開発室に戻るのではなく、三階へ。
三階にはユッコの所属する、企画部がある。
長い廊下を進んでいくと、事業部と営業部があり、企画部は廊下の角を曲がったさらに奥にある。
営業部のドア付近に差しかかると、パンツスーツ姿の女子社員が走り出てきて、ぶつかりそうになった。
しかし彼女は、謝る私に目もくれず、忙しそうに走り去る。
営業先との約束の時間が、迫っているのかな……。