副社長は束縛ダーリン

他部署の人間が、おかしなことを言うなと、叱られることも覚悟の上、私は両手を握りしめて真剣に頼み込んだ。


「お願いします。その役割、私に譲ってください! 全力でやり遂げますから!」


頭を駆け巡るのは、『上手くいけば大口契約』というユッコの言葉。

もし私が大口契約を取れたら、周囲の評価は一気に上がるよね。

『さすが副社長の彼女なだけある』と言われて、悠馬さんと釣り合ういい女になれるかも。

悠馬さんにも褒められて、『惚れ直したよ』と、嬉しい言葉をかけてもらえるかもしれない!


そんな打算をする私が頭を下げて頼み込んでいると、「じゃあ、北さんにお願いしようか」と、嬉しい言葉が返ってきた。


「ありがとうございます! 精一杯、頑張ります。よろしくお願いします!」

「こちらこそ。みんな嫌がってたところだったから、助かるよ。着ぐるみの中は、暑いし蒸れるし、クーラーがあってもキツイから」


え、着ぐるみ……って、どういうこと?

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