副社長は束縛ダーリン
「忘れてた……」
ばつの悪い思いで肩をすくめる私に「嘘をつく才能がないな」と悠馬さんはほんの少し笑ってくれて、それから言葉を付け足した。
「着ぐるみの動きが朱梨っぽかったし、GPSがなくてもきっと気づいただろうけど」
呆れ顔をしていても、悠馬さんの目も声も優しかった。
大きな手で私の頭を撫でてから、肩を抱き寄せてくれる。
「悠馬さん、また勝手なことをしてごめんなさい。実はーー」
許してもらえそうな雰囲気に、こうなるに至る経過も正直に話そうとしたら、遮られた。
「家に帰ってからゆっくり聞くよ。大体の想像はつくけれど。それより今は望月に事情説明した方がよさそうだ」
「そうね」と不愉快そうな声がして、二歩分離れた斜め向かいに立つ彼女に、私は恐る恐る視線を向けた。
腕組みをして、大きな目を狭め、私を睨みつけている大人美人。
綺麗な顔で凄まれるのは迫力があり、私は肩をビクつかせた。