副社長は束縛ダーリン

悠馬さんは私の腰に腕を回し、自分の方へ引き寄せながら、彼女に向けてハッキリと私たちの関係を口にする。


「北朱梨。うちの開発部員で、俺の恋人でもある。一緒に暮らしているよ」


彼女の瞳には侮蔑の色が表れて、それは私にだけではなく悠馬さんにも向けられている。

「知らなかったわ。女の趣味が悪い方へ変わってしまったのね」という言葉からすると、私のせいで悠馬さんの評価まで下げられてしまったようだ。


申し訳ない思いでそれを気にする私に対し、悠馬さんは大人の笑みを浮かべていて、落ち着いた静かな声で反論していた。


「望月と朱梨は正反対。君は素晴らしい女性だと思っているけど、今の俺にとって最高にかわいい彼女は朱梨なんだよ。あとは言わなくても分かるよね?」


彼女のプライドを傷つけたくないのか、悠馬さんはハッキリとした断りの台詞を避けていた。

彼女を怒らせても得はないと、私にもなんとなく理解できる。

同業者の彼女とはこの先も顔を合わせる機会があるだろうし、望月フーズの力はユキヒラ食品よりも大きいからだ。

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