副社長は束縛ダーリン

金属音を響かせてドアが閉められると、非常階段には私と悠馬さんのふたりきりになる。

静かな空気の中でホッと息を吐き出したら、耳元に「ねぇ」と不愉快そうな声を聞いた。

両肩を強く掴まれ、彼の方に向かされる。

すると至近距離にあるのは、文句を言いたげにしかめられたハンサムフェイス。


あれ……。さっきまで、呆れても怒ってはいないような雰囲気だったのに、どうして?

やっぱり私の勝手な行動に、ご立腹だったの?


戻ってきた緊張感の中で、叱られる覚悟を決める私だったが、悠馬さんはなぜかユキ丸くんの体のあちこちに触れるだけ。

胸元を探られて頬を赤らめたら、今度はくるりと向きを変えられて、背中をいじられた。

それからまた正面に戻されて、首や肩の白い毛を掻き分けられ……一体、なにがしたいのだろう。

毛づくろい?
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