副社長は束縛ダーリン
セレブな悠馬さんと庶民的な私は、買い物の感覚が大きくずれている。
でもそれは悩みではない。
こんな私でも彼は愛してくれるし、ショッピングを楽しみたいときは悠馬さんの許可を取って、女友達と出かければいいのだから。
夏物処分と書かれたセール品の中から、パステルピンクのオフショルダーのブラウスと、膝下丈のフェミニンな白いフレアスカートをホクホクした気分で購入した。
試着したそれを着たままでショップを出て、ユッコと笑い合う。
彼女も買ったばかりの服を着ていて、「上下で五千円以下だよ。いいもの買えたね!」と私たちは上機嫌。
たっぷりと三時間のショッピングを楽しんで、時刻は十五時になるところ。
そろそろ足が疲れてきたので、どこかでスイーツでも食べながら休憩しようという話になり、飲食店の並ぶエリアへと移動を始めた。
人の流れに乗ってゆっくりと歩きながら、「あ、そうだ」とハンドバッグからスマホを取り出す。
思い出したのは、悠馬さんに義務づけられている、外出時の報告メール。
そろそろ前のメールから二時間が経つので、ユッコと顔を寄せ合い、自撮り写真を一枚パシャリ。
【これから甘いものを食べて休憩しようと思ってます】と文章を添えてLINEメールを送信し、悠馬さんから【了解】というひと言が返ってきたのを確認してから、スマホをバッグに戻した。