副社長は束縛ダーリン

「長谷部となんかあったの？」

「ないない！　やだな〜、私には悠馬さんがいるんだから、なんかあるわけないでしょ」


一瞬バレたかと思って肝を冷やしたけれど、悠馬さんを理由にしたことがよかったのか、ユッコは「そうだよね」とすんなり信じてくれた。


「あいつ、朱梨のこと気に入ってたんだよ。知らなかったでしょ？　でも最近、朱梨に近づいてないみたいだね。まぁ、副社長の女に手を出すわけないか。クビは嫌だろうし」

「そ、そうなんだ……」

「いいな〜朱梨は。よく考えたら彼氏が副社長ってすごいよ。地位だけじゃなくルックスも抜群だし、束縛されても許せる。
ねぇ、どうしたらあんなにいい男を捕まえられるの？」


嫌味で言っている様子はなく、ユッコは至って真剣な顔で聞いてきた。

だから私も、その質問について真面目に考えてみる。


悠馬さんと初めて出会ったのは入社試験の面接のとき。

熱くコロッケ愛を語る私を、他の面接官は少々呆れて見ていた気がするけれど、悠馬さんだけは楽しそうに話を聞いてくれた。