副社長は束縛ダーリン

「親父に直接コンタクトを取られた。コロッケ勝負は話題性があり、お互いの販売促進に繋がる企画だから、やってみろと親父に言われた」

「ええっ!? 社長は、悠馬さんが賭けられていることを承知で言ってるんですか?」

「いや、おそらく知らないだろう。親父は……」


悠馬さんの説明によると、社長が聞かされたのは、若い女子社員のレシピで作ったコロッケの売上勝負という話らしい。

こっちの開発者は私が指名で、向こうは知らない女性開発部員の名前を挙げたそうだが、実際にレシピを考えるのは望月さんなのは明らかだ。

彼女が私と勝負したがっているのだから。


若い女子社員の勝負という話題作りは世間の注目を浴びそうで、冷凍コロッケの消費拡大に繋がることが期待できる。

そんなメリットを聞かされた社長は、望月さんにやる気にさせられてしまったようだ。


本当は悠馬さんを賭けての勝負だと、社長に話せばいいのではないかと言ったら、「そんな恥ずかしい話を親にできるか」と叱られた。

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