副社長は束縛ダーリン
大慌てで身を起こしたら、誰かに肩を押さえられて、また寝かされてしまう。
「悠馬さん!?」
「寝てろ。まだ少し熱がある」
「で、でも、レシピを作らないと……」
「ダメだよ。今日と明日は休んで。社には病欠の連絡を入れてあるから」
悠馬さんは部屋着姿で、ベッドの縁に腰かけている。
膝の上にはノートパソコンを置いて、ここで仕事をしていたような雰囲気だった。
キョロキョロと周囲を見回して、他にも気づいたことがある。
サイドテーブルには、スポーツ飲料のペットボトルに、氷水の入った洗面器とタオル。
体温計と風邪薬と、それから私の頭の下には少し温くなった水枕。
そっか。私、開発室で倒れたんだった。
その後は気を失うように眠り込んでしまって、悠馬さんが熱のある私を看病してくれたみたい。
置き時計を見ると、時刻は十三時を過ぎている。
寝不足が続いていたから、こんな時間まで一度も目覚めることなく、ぐっすり眠ってしまったのかな……。
スポーツ飲料のペットボトルにストローを差したものを、悠馬さんが私の口元に持ってきた。