副社長は束縛ダーリン
しばらく開発室に来ていないと思っていたけど、実は私のことを気にして、こっそりと様子を見に来ていたのだろうか?
心配してくれていたという事実にホッとして、彼の胸で大粒の涙を流す。
温かい胸と逞しい腕に包まれると、今まで随分と彼の愛情に飢えていたことに気づかされた。
また抱きしめてもらえることが嬉しくて、しばらく涙は止まりそうにない……。
たっぷりと十分ほど泣かせてもらい、スッキリした私には笑顔が戻っていた。
「なんだか急に元気になりました! 起きてもいいですか? ダイニングテーブルで普通にご飯を食べられそうなんですけど」
「そうか」と頷いて、私を起こしてくれた彼。
その口元には、ホッとしたような笑みが広がっている。
ベッドから足を下ろして立ち上がり、彼が床に置いたノートパソコンに視線を止めた。
仕事をしていたんだよね……。
彼は多忙な副社長。
私の看病をしてくれたことに感謝しつつ、半日も休ませてしまったことに申し訳なさが込み上げてきた。