副社長は束縛ダーリン
キスも久しぶりで嬉しい……じゃなくって、悠馬さんは私が負けてもいいというの!?
唇を離しても腕の力を緩めてくれない彼は、私を抱きしめたままで優しく微笑む。
「俺が手伝うから大丈夫。二日間休んでも、必ず期限までに最高のレシピを完成させてあげるから」
この勝負に一切かかわらないと宣言していた悠馬さんが、その意思を曲げて、サポートすると言ってくれるのはとても嬉しい。
でも私は目を瞬かせた。
「手伝うって、悠馬さんがコロッケを作るんですか?」
副社長である彼がエプロン姿で私の隣に立ち、ジャガイモを潰す姿を想像したら、ものすごい違和感を覚えた。
すると彼はおかしそうに笑う。
「残念だけど、俺が直接的に手を貸しても、反って邪魔になりそうだからやめておく。
そうじゃなくて、俺にできる方法でバックアップするから」
首をかしげた直後に視界が傾き、私は「わっ!」と驚きの声を上げた。
悠馬さんに横抱きに抱え上げられて、慌ててその首に腕を回してしがみつく。
「バックアップの方法は、明後日教えるよ。
とにかく今日と明日は、コロッケについて考えるのも禁止。分かったね?」
「は、はい……」