副社長は束縛ダーリン
◇◇◇
「朱梨ちゃん心配したよ。もう大丈夫なの?」
「はい、全快です! 色々とすみませんでした」
悠馬さんに見張られつつ、甘やかされて食べて寝ていたら、私の体調はすぐに回復。
二日間の欠勤の翌日に出社すると、二班のみんなが私のデスクの周囲に集まり、優しい言葉をかけてくれた。
それに笑顔で受け答えしながら、仕事用の割烹着を着る私。
よし、今日こそ、手応えのあるコロッケを作ってみせる。
心に静かな闘志をみなぎらせ、三角巾を頭に被ったら、ノックの音がして開発室のドアが開けられた。
全員の視線が向く中、入ってきたのは悠馬さん……と、見知らぬ男女五人。
なにも聞かされていない私は、みんなと同じように戸惑っている。
これからなにが始まるのだろうと悠馬さんを見つめていたら、目が合って、彼に優しい笑みを返された。
悠馬さんと見知らぬ人たちは、デスクを挟んだ私たちの前で足を止め、横並びになる。
「副社長、おはようございます。あの、そちらの方々は……?」
二班を代表して質問してくれたのは班長の三上さんで、悠馬さんが社内向けの紳士的な笑みを浮かべて説明してくれた。