副社長は束縛ダーリン
そんなすごい人が私なんかのサポートをしてくれるのかと驚いたが、他の四人もそうそうたる肩書を持っていた。
行列のできる洋食の名店のオーナーシェフに、レシピ本がミリオンセラーの大ヒットを飛ばし、主婦に崇められている料理研究家。
日本冷凍技術開発機構から来たという、冷凍技術のスペシャリストに、世界の食用油を研究している大学教授まで。
「すごいね……」と泉さんが私の斜め後ろから耳打ちしてきて、私は前を向いたまま、ゆっくりと頷いた。
わずか一日二日で、これだけの人をどうやって集めたんだろう……。
ユキヒラ食品という企業名を出したから、簡単に引き受けてもらえたの?
いや、違うよね。やっぱり物を言うのはお金かな……。
驚きが去った後には、感謝の気持ちが込み上げる。
昨日の午後は、私に『寝てなよ』と言い置いて、スーツ姿で出かけていった悠馬さん。
きっとあちこちに足を運んで、アシストチームの結成に勤しんでくれていたのだろう。
最強の助っ人をありがとうございます。
悠馬さんの努力に報いるためにも、私は最高のコロッケを作ってみせますから!