副社長は束縛ダーリン
その後は、この場にいる全員で小会議室に移動して、早速レシピについてのミーティング。
アシストチームの頼もしさに、開発部員として経験豊富な三上さんも感心していた。
私の頭ではとても思いつかないような調理法を教えてもらい、意外性のある調味料や食材の組み合わせ、画期的なアイディアと貴重な意見をいただいた。
そして一時間半のミーティングの終わりには、どれもこれも素晴らしいレシピが二十個もできあがる。
あとはこれらのレシピを、私と二班のメンバーで微調整しながら試作を繰り返し、一週間後にまた集まって、会議を開くことが決まった。
時刻は十一時になるところ。
多忙の中で来てくれたアシストチームの皆さんは足早に帰っていき、二班のメンバーも小会議室から出ていった。
私も開発室に戻ろうと思うけれど、悠馬さんは今、秘書から連絡が入って電話中。
ひと言お礼を述べてから……と思い、待つことにする。
「分かりました。すぐ戻ります」と言って電話を終え、スマホをスーツの内ポケットにしまった悠馬さん。
忙しそうだと感じると、感謝の他に申し訳ない気持ちにもなる。
レシピ会議にまで参加してくれた彼の思いに応えるためにも、私は必死にならないと。