副社長は束縛ダーリン
今の私は、もう大丈夫。
前半戦のときのような焦りはなく、私の後ろにはこうして悠馬さんがいてくれるのだと思うと、安心感さえ湧いていた。
「無理をしないと約束します」
私を抱きしめる大きな手に、手を重ねてそういうと、ホッと吐き出す彼の吐息がうなじにかかり、甘い声が耳をくすぐった。
「もうひとつ約束して……今夜は俺に抱かれると。朱梨が疲れていたから我慢していたけど、もう限界。本当は、今ここで押し倒したいくらい」
そ、そうだったのね……。
ひと月半も抱いてくれなかった理由は、怒っているからだと思っていたけど、私を気遣って我慢してくれていたんだ。
素っ気ない態度とギクシャクした感じは、それもあってのことだったのかな。
そんな配慮はいらなかったのに。
愛情不足で、私も抱いてほしいと思っていたから……。
彼の腕の力が緩むのを合図に、向かい合うと、すぐに唇が重なった。
ここは小会議室で、ドアの鍵も開いたまま。
それを最初は気にしていたけど、すぐにキスに夢中になって忘れてしまう。
深く激しいキスに、私を求める彼の気持ちが伝わって、心に喜びが広がる。
私の背中を撫でる手が、もったいぶるようにゆっくりと下降してお尻までくると、ゾクゾクと肌が粟立ち、スーツにしがみついた。
この恋を守りたい。
悠馬さんとずっと一緒にいたいから、望月さんには負けられない……。