副社長は束縛ダーリン

不安に速まる鼓動をなんとか落ち着かせたら、やられっ放しは悔しいので、反対に彼女を焦らせてやろうとアシストチームについて口にした。


「私は負けません。最強のアシストチームと一緒に作ったレシピですから。かの有名な神野さんも私の味方なんです」


望月さんも神野さんと同じく、フードコーディネーターとして仕事をしている。

だから神野さんの名前を出せば慌てるのではないかと思ったのだけど、電話の向こうからは馬鹿にしたような笑い声が聞こえてきた。


「なにがおかしいんですか!?」

『あら、ごめんなさい。神野さんて、神野ゼツさんのことよね? まるで切り札のような言い方をされたから、おかしくって』


切り札だけど……違うの?

神の舌を持つと言われる神野さんを、低く見ているような言い方をされて、私は動揺して黙り込む。

するとクスリと笑う彼女は、『ひとつ教えてあげるわ』と話し始めた。

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