副社長は束縛ダーリン
それに対して私のコロッケのパッケージはというと……。
明るくて素朴な印象を与えられるように作られている。
黄色と緑の二色のパッケージには、『北朱梨のキタアカリコロッケ』という商品名がかわいらしい字体で書かれ、『私が作りました!』という吹き出しの横に、割烹着姿でコロッケを手にして微笑む私の写真が載せられている。
容器包装の担当部署の人たちが、時間がない中で一生懸命に作ってくれたパッケージデザインだけど、売れるのだろうかと少し不安。
私の顔と名前で、購買意欲が掻き立てられるとは思えないし……。
でも私の好きなデザインだ。
庶民的な私らしく、この素朴なコロッケにもピッタリと合ったものになっていた。
冷凍庫の扉越しにコロッケを眺めていると、店側がつけてくれた手書きのポップに気づいた。
『今ウェブで話題のコロッケ勝負!
開発者の若い女子社員ふたりにご声援を!』
それを読んで「頑張れ、私のコロッケ」と小声で声援を送った後は、この場を離れ、買い物カゴを手に取る。
せっかく来たのだから、今晩のおかずの材料でも買って帰ろうと思って……。