副社長は束縛ダーリン

しかし、肉や魚売り場に行っても、気になってまたすぐに冷凍食品コーナーに戻ってきてしまう。

そしてさっきからひとつも減っていないコロッケを見て、がっかりと肩を落としていた。


張りついたって意味はない。むしろ他の買い物客の邪魔になる。

そう言い聞かせて、今度は青果売り場へと無理やり足を向けたが……特売品のバナナとミニトマトをカゴに入れたら、また冷凍食品売り場に戻ってきてしまった。


どうしよう。気になってしかたなくて、ここから離れられそうにない……。


それから、遠巻きに冷凍食品売り場周囲をウロウロすること三時間ほど。

ついに冷凍コロッケを手に取ってくれる買い物客が現れた。

中年女性がカゴの中に入れたのは、望月さんのコロッケではなく私のコロッケで、嬉しさのあまりに駆け寄ってお礼を言いたい気分になる。

でも、驚かせたことで商品を戻されては困るので、その気持ちをぐっと押し込め、レトルト食品の陳列棚の陰から覗きつつ、小声でお礼を言うだけに止めておいた。

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