副社長は束縛ダーリン
我慢していた分、特大になってしまったくしゃみにより、悠馬さんの言葉は遮られた。
無言になった彼を、視線だけチラリと動かして見上げたら、明らかな呆れ顔からは深い溜め息が降ってきた。
「あの、ごめんなさい……」
取りあえず謝って、「続きをどうぞ」と話の先を促したら、彼の爪先が私との距離を一歩詰めるのが見えた。
その直後に、なぜか身を屈めた彼の両腕が腰に回され、私は「キャア!」と叫んでいた。
視界が傾いて上昇し、肩に担がれたのだ。
くの字に折れ曲がったお腹に体重がかかって、苦しいんですけど……。
「悠馬さん、なにするんですか?」
「ベッドに運ぶんだよ。風邪を引いたんだろ?」
風邪じゃないと言っても、寝室に向けてズンズン進む彼は、足を止めてくれない。
リビングを出て寝室に入り、ベッドに下ろされると、布団までしっかりとかけられて、本当に寝かされてしまった。