副社長は束縛ダーリン

私を見張るようにベッドの縁に腰かけた彼に、「熱もないし元気なんですけど」と文句を言えば、なぜかニヤリと笑われた。


「風邪じゃなくても起きてはいけないよ。明日まではベッドに軟禁する」

「え!?」

「食事は俺が食べさせてあげる。アーンしてってね。お風呂は一緒に入ろう。隅々まで洗ってあげるよ。トイレは抱っこして連れていく」

「トイレも!?」


病人じゃないことは分かっているようなのに、なぜそんなことをするのか。

五十年後のための介護訓練というわけでもないだろうし……。

驚きと疑問がいっぱいの心で、切れ長二重の涼しげな瞳をじっと見つめていたら、彼はクスリと笑った。


「朱梨は勝手なことばかりするから、こうでもしないと分からないと思ってね」

「お仕置き的な意味で、ベッドに軟禁ですか……?」

「そう。でも軟禁生活は楽しそうだから、それもいいかもね。ときどき勝手なことをしでかしても許してあげるよ」


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