副社長は束縛ダーリン
冗談めかした口調で言われても、悠馬さんなら本当にやりそうに思えて、私の顔は引きつる。
ひとりだけ楽しそうな顔をする彼は、スーツのジャケットを脱いで床に落とし、ネクタイを解いていた。
その瞳に色が灯るのが見えて、私はドキドキと胸を高鳴らせる。
本気でベッドに縛りつけるつもりじゃなく、私を抱きたい気分になっていただけなのかな。
だったら、そう言ってくれればいいのに……。
ワイシャツのボタンをすべて外して、バランスのよい筋肉美をチラリと見せる彼は、布団の上から私に跨った。
それからネクタイを両手に持ち、横に強く引っ張って、パンと乾いた音を立てる。
「朱梨、今日はどんなふうに縛られたい?
手足は四本あるから、ネクタイ一本じゃ足りないかな」
素敵に微笑む彼につられるように、私の顔も笑っているが、冷や汗の流れるような心持ちでいた。
さっき思った言葉は訂正しようと思う。
悠馬さんは本気で私をベッドに縛りつけるつもりのようでした。