副社長は束縛ダーリン
「どこに行くんですか?」
「どこも行かないよ。ジャケットに用があるだけ」
ステンドグラス風の丸い色ガラスをはめ込んだ白いドア。
その向こうはバスルームに繋がる廊下があり、その先は玄関となっている。
レストランで着用していた悠馬さんのジャケットは、コートと一緒に玄関横のクローゼットに私がかけた。
ジャケットに用があるということは、ポケットに入れていたなにかを取りに行ったということかな?
すぐに戻ってきた彼は背中になにかを隠しているような格好で、ソファーに座ると私に手を出すように指示した。
言われた通りに差し出した手の平にのせられたのは、白い指輪ケース。
これはもしや、クリスマスプレゼント……?
目を合わせると彼は優しく微笑み、頷いてくれた。
六月の誕生日にはダイヤのネックレスをくれた彼。
クリスマスプレゼントには指輪をくれるんだ……。