副社長は束縛ダーリン
すぐに指にはめてみようという、はしゃいだ気持ちになれないほどに、胸にジーンと迫りくる。
ケースごと角度を変えて、指輪の輝きをうっとりと堪能していたら、「分かってないのか……」という呟きが隣から聞こえてきた。
「え?」と聞き返すも、「なんでもない。気にするな」と不愉快そうに言う悠馬さん。
そんな言い方をされたら、気になるに決まっている。
指輪ケースの蓋を閉じてテーブルに置き、悠馬さんの話をしっかりと聞こうとして、体を右に向けた。
すると指輪ケースにチラリと視線を流した彼に、なぜか深い溜め息をつかれてしまう。
「悠馬さん、ちゃんと言ってください。
また私、なにかしましたか?」
「そうだね……なにかしたね。
俺はいつも朱梨に振り回されっ放し。今日はひと言ふた言、言わせてもらおうか」
真顔でじっと見つめられ、逃げられないように手首まで掴まれては、私の心に不安が湧く。
今まで楽しい雰囲気だったのに、まさかの説教タイム?