副社長は束縛ダーリン

さっきの『言ってください』という自分の発言を後悔していた。

せっかくのスイートルームでのお祝いなのに、できれば家に帰ってからにしてもらえないかな……。

そんな願いもむなしく、彼からお叱りの言葉を頂戴する。


「朱梨と交際を始めてから約一年。気の休まる暇がない。コロッケ勝負もそうだけど、それより前は“いい女計画”だったか? アレも。
いつも勝手なことをしてくれて、心配させられる」

「す、すみません……」

「昨日だってそうだ。急遽帰りに二班の男たちと祝勝会に行くことになったとメールが送られてきて、どれだけ心配したか。電話をかけても気づかないしな」

「あの、男性だけじゃなくて泉さんも……い、いえ、なんでもないです。ごめんなさい」


二班の男性たちをまだ警戒しているような悠馬さんだけど、私は恋愛対象に見られていないのに。

悠馬さんが激しい独占欲を日々チラつかせているから、手を出そうと思うはずがないでしょう。

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