副社長は束縛ダーリン
ソファーに仰向けに押し倒されて、彼が私に乗り上がり、唇が重なった。
ゆっくりと私を溶かすような深く濃密なキスは、ほのかにシャンパンの味。
とろりと甘い大人のキスに酔わされて、体の芯が疼いてくる。
大きな手がスカートの中に潜り込み、ストッキングの上から太ももに触れて撫で始めた。
強弱をつけ、弧を描くように触れる巧みな指先。
たちまち私の鼓動は振り切れそうなほどに高鳴り、ゾクゾクと肌が粟立って身悶えしてしまう。
合わせた唇の隙間にたまらず甘く呻いたら……唇が離され、熱を帯びて潤む瞳に見下ろされた。
視線を絡めたままに、濡れた唇を親指の腹で拭う彼は、男の色気を全身に纏わせて、艶めいた声で囁く。
「お望み通り縛ってあげるよ。ベルトがいい? それともバスローブの紐?」
「え……」
『縛ってください』と言ったのは私だけど、そういう直接的な意味じゃなくて、生活全般のことについて言っただけで……。
言い訳する前に抱き起こされて、そのまま抱え上げられた。
慌てて彼の首に両腕を回してしがみつけば、「今日の朱梨は積極的だね」と、笑いを含んだ楽しそうな声で言われる。
「ベッドに行こう。今夜はどんなふうに縛ろうかな。激しくしてもいい?」
これからされることを想像し、真っ赤な顔で胸をときめかせる私は、「はい」と迷いなく頷いていた。
私を抱き上げてくれるこの腕は、逞しくて頼りがいがあり、そして誰よりも私に優しいと知っている。
私が縛られたいと思うのは、悠馬さんにだけ。
また私が勝手なことをしないように、これからもあなたの強い愛情で縛りつけて……。
【完】