副社長は束縛ダーリン

正しいメニュー名は忘れたけど、そのような内容が書かれていた気がする。

しかし、意味ありげな笑みを浮かべて返事をしない彼に、首をかしげたそのとき、急に店内の照明が低く落とされた。


私も他の客たちも驚く中で、バースデーソングが流れてきた。

厨房の出入口から、黒いベストと蝶ネクタイの店員が、二段の大きなケーキを運んできて、私の目の前に置く。

美しくデコレーションされた生クリームとフルーツの上に、私の名前が書かれたチョコプレートがのっていて、ロウソクが二十四本、薄暗い店内にロマンチックな炎を揺らしていた。


「素敵……」


これも悠馬さんのサプライズ。

彼は満足げな笑みを浮かべて、私を見ている。


バースデーソングが終わって、ロウソクを吹き消すと、明るさを取り戻した店内に、たくさんの拍手が湧いた。

注目を浴びてちょっと恥ずかしいけど、とっても嬉しくて……。



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