副社長は束縛ダーリン

個室はふたつとも空いているのに、彼女たちはなぜか入ろうとせず、私の後ろで立ち話を始める。

美味しかった、楽しかったという普通の会話は、すぐに私を揶揄したものに変わり……。


「楽しかったけど、疑問が残ってスッキリしないね。格好いい男の彼女がコレって……」

「あの彼、お金持ちそうじゃない?
高級ブランドのネックレスを安いですって。羨ましい〜。こんな子のどこがいいの?」

「早速、首にぶら下げてるけど、似合ってないよね」


女としての私の価値を疑問視する声が、グサリと胸に突き刺さる。

少し前までの私なら、聞き流すことができただろう。

『自分でも分からないけど、きっと私には隠れた魅力があるのよ』と、心で反論して。

でも今は、悠馬さんと釣り合う点がひとつもないことを自覚しているので、言われたことに納得してうつむいてしまう。


思わずネックレスを手で隠そうとしたら、その行動がおかしかったのか、後ろに笑い声が響いた。

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